クラウド運用監視とは?その必要性から成功のポイントまで解説! | 株式会社ハートビーツ(HEARTBEATS Corporation)|AWS・クラウド・サーバーなどのインフラ運用を24時間365日サポート

クラウド運用監視とは?その必要性から成功のポイントまで解説!

基礎知識運用監視

近年、多くの企業で導入が進むクラウドサービスですが、その真価を最大限に引き出すためには適切な「運用監視」が不可欠です。
クラウドはベンダーがインフラを管理するため、運用監視は不要だと思われがちですが、実際にはユーザー側で管理すべき領域が存在し、安定稼働のためには日々の運用監視が欠かせません。

この記事では、クラウド運用監視の必要性から、オンプレミス環境との違い、成功させるためのポイントまでを分かりやすく解説します。

この記事は、波田野 裕一(運用設計ラボ合同会社 シニアアーキテクト / AWS Hero) が監修しています[プロフィール詳細]

この記事のポイント

  • クラウド化後もOSやデータなどの管理責任はユーザーにあり、安定稼働やセキュリティ維持のため自社による運用監視が欠かせない
  • 責任範囲がインフラ全域に及ぶオンプレミスとは異なり、クラウドではユーザーの責任範囲やオートスケーリング等の特有機能に対応した監視が必要になる
  • 死活・サービス・リソース監視などの基本に加え、ワークフローの可視化や対象範囲の絞り込みにより運用負荷の低減と最適化を図ることができる
  • クラウド標準・OSS・SaaSツールを活用するほか、専門事業者(MSP)へ外注することで24時間365日体制の構築とコア業務への集中を実現できる

目次

クラウド運用監視とは?その必要性を解説

クラウド運用監視とは?の図解

クラウド運用監視とは、クラウド環境上にあるシステムやアプリケーションの稼働状況、パフォーマンス、セキュリティなどを継続的に監視し、問題が発生した際に迅速に対応し、その再発を防止できるようにする一連の活動を指します。クラウドサービスは手軽に利用できる反面、その運用監視を怠ると、ビジネスに深刻な影響を及ぼす可能性があります。なぜクラウド環境でも運用監視が必要なのか、その理由を3つの側面から解説します。

クラウド環境でもユーザーによる日々の管理は不可欠

クラウドサービスでは、物理的なサーバーやネットワーク機器などのインフラ管理はクラウドベンダーが担いますが、その上で動作するOS、ミドルウェア、アプリケーション、そしてデータなどはユーザーの管理範囲となります。

例えば、アクセスが集中してサーバーのリソースが不足した場合、リソースの追加や最適化を行うのはユーザーの責任です。日々の運用監視を通じてリソースの使用状況を把握し、コストの無駄やパフォーマンスの低下を防ぐ必要があります。

障害発生時に迅速な対応が求められる

クラウドサービスを利用していても、アプリケーションの不具合や設定ミス、ネットワークの遅延といったトラブルは起こり得ます。これらの障害を放置すれば、サービスの停止や顧客満足度の低下に直結し、利用者からの信頼を損なうことにもなりかねません。

クラウド運用監視を実践することで、障害の兆候を早期に検知し、迅速な原因究明が可能になります。日頃からの運用監視体制が、万が一の事態におけるビジネスへの影響を最小限に食い止める鍵となります。

情報セキュリティリスクの低減に繋がる

クラウド環境は、その利便性の高さからサイバー攻撃の標的になりやすい側面も持っています。不正アクセスや情報漏えいといったセキュリティインシデントは、企業の存続を揺るがす重大な問題です。クラウド運用監視によって、不審なアクセスログやデータの異常な動きを検知し、早期に対策を講じることが大切です。

クラウドベンダーが提供するセキュリティ機能と組み合わせ、ユーザー側でもセキュリティ状況を常に把握し、多層的な防御体制を築くことが、情報資産を守る上で極めて重要です。

クラウド運用監視とオンプレミス運用監視の主な違い

パソコンのキーボードをたたく手の画像

クラウド運用監視は、自社で物理サーバーを管理するオンプレミス環境の運用監視とは、そのアプローチや重点を置くべきポイントが大きく異なります。ここでは、両者の主な違いを「責任範囲」と「運用監視機能」の2つの観点から解説します。

運用監視の責任範囲が異なる

オンプレミス環境では、ハードウェア、ネットワーク、OS、アプリケーションに至るまで、すべての構成要素の管理責任を自社で負います。 そのため、物理的な機器の故障監視からソフトウェアのアップデート管理まで、運用監視範囲は多岐にわたります。

一方、クラウド環境では、前述の通り、クラウドベンダーとユーザーで責任範囲が分担されます。物理的なインフラの運用監視はベンダーが行うため、ユーザーはOS以上のレイヤー、つまりアプリケーションのパフォーマンスやデータの管理、セキュリティ設定などに集中することができます。

環境ハードウェア・インフラOS・ミドルウェアアプリケーション・データ
クラウドクラウドベンダーの責任ユーザーの責任ユーザーの責任
オンプレミスユーザーの責任ユーザーの責任ユーザーの責任

クラウド特有の運用監視機能が必要になる

クラウド環境は、リソースを動的に変更できるスケーラビリティが大きな特徴です。 この特性を活かすためには、オンプレミスとは異なる運用監視機能が求められます。

例えば、アクセス量に応じてサーバーの台数を自動で増減させる「オートスケーリング」機能を利用する場合、リソースが適切に増減しているか、コストが想定内に収まっているかを監視する必要があります。
また、複数のサービスを連携させてシステムを構築することが多いため、サービス間のデータの流れや処理状況を把握する監視も重要になります。

クラウド運用監視の基本的な監視項目

クラウド運用監視の基本的な監視項目の図解

クラウド運用監視では、システムの安定稼働を維持するために様々な項目をチェックします。ここでは、特に重要となる3つの基本的な監視項目について解説します。

システムの稼働状況を把握する死活監視

死活監視とは、サーバーやネットワーク機器などが正常に稼働しているかどうかを定期的に確認する、最も基本的な監視です。
例えば、外部からサーバーに対して信号を送り、正常な応答が返ってくるかを確認します。応答がない場合、システムが停止していると判断し、管理者へアラートを通知します。これにより、サービス停止などの重大な障害にいち早く気づくことができます。

サービスの異常を検知するサービス監視

サービス監視は、システムが稼働しているだけでなく、提供しているサービスが「正常に機能しているか」を確認する監視です。
例えば、Webサイトの表示速度が著しく低下していないか、ECサイトの購入処理が正常に処理されているかなどを監視します。死活監視では検知できないような、機能不全やパフォーマンスの劣化といったサービスの品質に関わる問題を早期に発見することが目的です。

サーバー負荷を測るリソース監視

リソース監視は、CPUの使用率、メモリの使用量、ディスクの空き容量など、サーバーの性能に関わるリソースの状態を監視することです。 これらのリソースに余裕が無くなってくると、システムの動作が不安定になったり、最悪の場合はサーバーがダウンしたりする原因となります。

リソースの使用状況を継続的に監視することで、将来的なリソース不足を予測し、サーバーの増強計画などを立てる際の重要な判断材料となります。

クラウド運用監視が特に必要なケース

パソコンを操作しながら考える人の画像

クラウド運用監視は、クラウドを利用するすべての企業にとって重要ですが、特にビジネスへの影響が大きいシステムを運用している場合は、より徹底した運用監視体制が不可欠です。ここでは、その代表的な3つのケースを紹介します。

ECサイトをクラウドで運用している

ECサイトは、顧客の購買体験が売上に直結するため、24時間365日の安定稼働が絶対条件となります。 サイトの表示が遅れたり、決済処理でエラーが発生したりすれば、顧客はすぐに離脱してしまい、機会損失に繋がります。

例えば、キャンペーン時などにはアクセスが急増するため、トラフィックの変動に柔軟に対応できる運用監視体制が求められます。クラウド運用監視によってパフォーマンスを常に最適化することで、顧客の購買機会の拡大に繋げることが可能となります。

基幹システムをクラウドで運用している

企業の根幹を支える会計、人事、生産管理などの基幹システムをクラウドで運用する場合も、システムの安定性とセキュリティが最優先事項となります。 これらのシステムが停止すると、全社的な業務が滞り、ビジネスに甚大な被害を及ぼす可能性があります。 

個人情報や重要データを扱っており、セキュリティ運用を強化したい

個人情報や機密データを扱うシステムでは、システムの障害監視だけでなく、セキュリティ運用が欠かせません。自社のサービスやシステムについて、「どこに攻撃され得る脆弱性があるか」を把握して対策をすること、また万が一攻撃された際に「いち早く脅威を検知すること」をセットで考える必要があります。

脆弱性や脅威の検知だけでなく、優先度判断(トリアージ)から再発防止策までを一気通貫で回せる実運用型のセキュリティ体制を整えることが極めて重要です。

クラウド運用監視を成功させるためのポイント

クラウド運用監視を成功させるためのポイント図解

効果的なクラウド運用監視を実現し、その効果を最大化するためには、いくつかの重要なポイントがあります。ここでは、運用監視を成功に導くための3つのポイントを解説します。

クラウドのワークフローを把握する

クラウドで運用しているシステムのパフォーマンスを最大化するためには、システム全体のワークフロー、つまりデータの流れや処理の連鎖を正確に把握することが重要です。 どの部分で処理に時間がかかっているのか(ボトルネック)、どの部分でリソースが余っているのかを理解することで、リソース配分の最適化やパフォーマンス改善に繋がります。

ワークフローを可視化し、定期的にチェックすることで、予期せぬトラブルを未然に防ぎ、より効率的なシステム運用を実現できます。

運用監視対象の範囲を明確にする

クラウド環境では運用監視できる項目が多岐にわたるため、すべての項目を無差別に運用や監視をしようとすると、コストと手間が増大し、かえって重要なアラートを見逃す原因にもなります。

まずは、自社のビジネスやワークフローにとって何が重要かを見極め、運用監視対象の範囲や優先順位を明確にすることが重要です。その上で、サービス停止やパフォーマンス低下が発生した場合に最も影響が大きい箇所から優先的に運用監視体制を構築していくアプローチが効果的です。

運用監視業務の負荷を下げる工夫をする

運用監視業務において運用負荷を下げるためには、自社のサービスやシステムに最適化された業務プロセスを定義し、その業務プロセスに最適なツールを導入・利用することが理想的です。

しかし、担当者が運用監視以外にも多くの業務を抱える場合、このようなアプローチは現実的ではありません。このような場合は、対象となるサービスやシステムをできる限り運用監視しやすい構成や状態にし、クラウドでよく使われている運用監視ツールを選定することで、担当者の負荷を大幅に軽減することができる場合があります。
ただし、運用監視を含むITのツールには流行りや廃りもあるため、トレンドを追いつつも過剰に振り回されないことも大切です。

クラウド運用監視に役立つツール

クラウド運用監視を効率的に行うためには、適切なツールの選定が欠かせません。運用監視ツールは大きく分けて3つの種類があり、それぞれに特徴があります。自社の環境や目的に合わせて最適なツールを選択しましょう。

クラウドベンダーが提供する運用監視サービス

AWSの「Amazon CloudWatch」やMicrosoft Azureの「Azure Monitor」など、主要なクラウドベンダーは、自社のクラウドサービスに最適化された運用監視サービスを提供しています。 これらのサービスは、クラウド環境のリソース使用状況やパフォーマンスを詳細に監視でき、オートスケーリングなどクラウド特有の機能と連携しやすいのが大きな利点です。基本的な運用監視機能は無料で利用できる場合も多く、手軽に運用監視を始めたい場合に最適な選択肢です。

OSS(オープンソースソフトウェア)

ZabbixやPrometheusに代表されるOSS(オープンソースソフトウェア)の監視ツールも広く利用されています。OSSの最大のメリットは、ライセンス費用がかからず、自社の要件に合わせて自由にカスタマイズできる柔軟性の高さです。クラウド環境だけでなく、オンプレミス環境やネットワーク機器など、様々な対象を統合的に監視したい場合に有効です。
ただし、導入や運用には専門的な知識が必要となる場合があります。

SaaS型の運用監視サービス

SaaS(Software as a Service)として提供される運用監視サービスは、自社で運用監視サーバーを構築・管理する必要がなく、契約後すぐに利用を開始できる手軽さが魅力です。 サービス提供事業者がツールのメンテナンスやアップデートを行うため、運用負荷をかけずに常に最新の運用監視機能を利用できます。マルチクラウド環境をまとめて監視できるサービスも多く、複数のクラウドを併用している企業にとって有力な選択肢となります。

クラウド運用監視は専門家への相談も有効

グラフの資料を見ながら話し合う人々の写真

クラウド運用監視は専門的な知識を要するため、自社だけで対応することが難しい場合も少なくありません。特に、24時間365日の対応や高度なスキルを持つ人材の確保は、多くの企業にとって大きな課題です。そのような場合は、クラウド運用監視サービスを提供する専門家(MSP:マネージドサービスプロバイダー)にアウトソースすることも有効な選択肢です。

24時間365日の対応で担当者の負担を軽減する

専門の運用監視サービスを利用することで、24時間365日の有人運用監視体制を構築できます。 これにより、自社のIT担当者が夜間や休日に障害対応に追われることがなくなり、心身の負担を大幅に軽減できます。担当者は本来のコア業務に集中できるようになり、生産性の向上にも繋がります。

【事例】インフラ専任不在のなか、運用の負担を95%以上削減し開発を加速
月間5〜6億アクセスのSaaSを展開する企業様では、インフラ専任者がおらず、開発チームが通常業務と並行して障害対応を兼務するリソース不足が課題でした。
運用監視業務をハートビーツへ外注(「サーバー監視一次対応サービス」)したところ、専門エンジニアによる的確なチューニングで今まで届いていた大量の通知が激減。社内の運用負担を95%以上も軽減することに成功しました。
現場のストレスも解消され、本来の業務に専念できるようになったことで開発スピード向上を実現されています。
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専門的な知見でコスト最適化を実現する

クラウドに精通したエンジニアは、運用監視を通じて得られたデータを分析し、システムのパフォーマンス改善やコスト最適化の提案を行います。 例えば、不要なリソースの削減や、よりコスト効率の良いサービスへの切り替えなど、専門的な知見に基づいたアドバイスにより、クラウド利用料を適正化することが可能です。

迅速な障害対応でビジネスへの影響を最小化する

万が一障害が発生した場合でも、専門家が手順書に基づいて迅速な一次対応や復旧作業を行います。 経験豊富なエンジニアが対応することで、原因究明から解決までの時間を短縮し、ビジネスへの影響を最小限に抑えることができます。これにより、システムの安定稼働と事業の継続性を高めることができます。

まとめ

本記事では、クラウド運用監視の必要性から、オンプレミスとの違い、成功させるためのポイントやツールについて解説しました。クラウドのメリットを最大限に引き出し、ビジネスを安定的に成長させるためには、自社の状況に合った適切な運用監視体制を構築することが不可欠です。

自社での対応が難しい場合は、専門家の力を借りることも視野に入れながら、システムの安定稼働を目指しましょう。この記事が、自社のクラウド運用監視体制を見直す一助となれば幸いです。

この記事を監修した人

運用設計ラボ合同会社 シニアアーキテクト/ AWS Hero
株式会社ハートビーツ Monitoring & Operations Specialist
波田野 裕一

ADSLキャリア/ISPにてネットワーク運用管理、監視設計を担当後、ECサイト運営企業においてサーバ構築運用、ミドルウェア運用設計/障害監視設計に従事。ビジネス及び運用現場にとって最適な運用を実現するための運用設計・ドキュメンテーション支援および関連教育を行なっている。

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