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脆弱性管理とは?必要性や運用プロセス・ツールの選び方を解説

セキュリティ基礎知識

脆弱性管理とは、自社のシステムやソフトウェアに潜むセキュリティ上の弱点を継続的に把握し、サイバー攻撃のリスクを低減するプロセスのことです。パッチ適用やアップデートの優先順位を判断し、効率的に対処する運用体制が求められます。

本記事では、脆弱性管理が重要視される背景から、具体的なライフサイクル、運用を支えるツールの選び方までを通して整理します。

この記事のポイント

  • 脆弱性管理はセキュリティ上の弱点を継続的に把握し、リスクを低減するプロセスである
  • 単発で終わる脆弱性診断とは異なり、ライフサイクルに沿った継続的な運用が必要
  • サイバー攻撃の高度化や攻撃対象領域の拡大により、リスクベースの優先順位付けが重要となる
  • 運用プロセスは資産の可視化から検知、評価、対策の実行へと段階的に進める
  • ツール選定では自社環境への対応状況やCVSS等の標準指標による評価機能を重視する

脆弱性管理とは?サイバーリスクを低減する継続的なプロセス

図解:脆弱性管理とは?

脆弱性管理は、システムやソフトウェアの欠陥を洗い出し、リスクに応じて対処する仕組みです。脆弱性診断との違いを含めて定義を整理します。

脆弱性管理の定義と目的

脆弱性管理は、情報システムに存在するセキュリティ上の弱点を特定し、被害を防ぐための対策を講じる一連の運用プロセスです。ソフトウェアのバージョンアップやパッチ適用を適切に行い、攻撃者に悪用される隙を減らすことを主な目的としています。

すべての脆弱性に即座に対処することは現実的ではないため、自社の環境に与える影響度を評価し、優先順位をつけて対応していく考え方が基本です。

企業を狙うサイバー攻撃は日々進化しており、放置された脆弱性が重大なインシデントにつながるケースも珍しくありません。最新の脅威動向を把握し、自社のIT資産に対するリスクを継続的にコントロールすることが、安定した事業運営の基盤となります。

脆弱性診断との違い

脆弱性診断が特定の時点におけるシステムの状態を検査する単発の取り組みであるのに対し、脆弱性管理は日々の運用の中で継続的に弱点を監視・評価するプロセスです。診断は健康診断のように現在の問題を洗い出す役割を持ち、脆弱性スキャンやペネトレーションテストなどの手法を用いて専門的な視点からリスクを可視化します。

一方の脆弱性管理は、診断結果や日々公開されるセキュリティ情報を元に、計画から検知、対策、報告までを恒常的に回し続ける体制を指します。両者は対立するものではなく、日々の管理サイクルの中に定期的な診断を組み込む運用が一般的です。

脆弱性管理が重要視される3つの背景

図解:脆弱性管理が重要視される3つの背景

近年、企業において脆弱性管理の取り組みが不可欠とされているのには複数の理由があります。サイバー攻撃の傾向やIT環境の変化といった背景を整理します。

観点要点
攻撃の高度化ランサムウェアなど被害が甚大化し、継続的な管理体制が重要
IT環境の変化クラウドやテレワーク普及で攻撃対象領域(ASM)が拡大
法令・ガイドラインセキュリティ基準の遵守などコンプライアンス要求の厳格化

サイバー攻撃の高度化と被害の甚大化

サイバー攻撃の手法が巧妙化し、脆弱性を突かれた際の被害規模は拡大傾向にあります。特にランサムウェア攻撃においては、システムの停止や機密情報の公開を盾に金銭を要求される事態が発生し、企業活動に深刻な影響を及ぼすケースも珍しくありません。

ソフトウェアの提供元から修正プログラムが公開された後も、パッチが適用されていないシステムを狙うNデイ攻撃の手口が増加する傾向にあります。事業継続への影響を最小限に抑えるには、既知の脆弱性をいち早く塞ぐ迅速かつ継続的な管理体制が求められます。

クラウド利用やテレワークによる攻撃対象領域の拡大

クラウドサービスの普及やテレワークの常態化により、企業が管理すべきIT資産の範囲は急速に広がっていきました。従来は社内ネットワークの境界を防御する対策が主流でしたが、現在は従業員の自宅PCや社外のサーバーなど、多様な端末やサービスがインターネットに接続されています。

攻撃者が狙う接点(アタックサーフェス)が増加したことで、どこにどのような脆弱性が潜んでいるのかを正確に把握することは容易ではありません。点在するIT資産を網羅的に可視化し、一元的に管理する仕組みの構築は多くの組織が直面する課題です。

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法令やガイドラインによるコンプライアンス要求

国内外でセキュリティに関するガイドラインや法令の整備が進み、企業に対するコンプライアンス要求は年々厳格化する傾向にあります。総務省やIPA(情報処理推進機構)が公開するガイドラインでも、ソフトウェアの最新化や既知の脆弱性への対処は基本的な対策として位置付けられています。

万が一インシデントが発生した場合、適切な脆弱性管理を行っていなかった組織は、社会的信用の失墜だけでなく損害賠償責任を問われるリスクが生じる可能性があります。セキュリティ対策を経営課題として捉え、公的機関の指針に沿った管理体制を構築する姿勢が求められます。

参考:脆弱性対策関連ガイド | 情報セキュリティ | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

脆弱性管理のライフサイクル(基本プロセス)

図解:脆弱性管理のライフサイクル

脆弱性管理は単発の作業ではなく、継続的なサイクルとして運用します。具体的にどのような手順で進めるのかを段階ごとに解説します。

プロセス要点
1.資産の可視化社内のハードウェア・ソフトウェアを網羅的に把握する
2.検知・スキャンツールを用いて資産に潜む脆弱性を洗い出す
3.評価・優先順位付けリスクの大きさや影響度に基づいて対応の順序を決める
4.パッチ適用・対策更新プログラムの適用や代替となる軽減策を実行する

1.資産の可視化と把握

脆弱性管理の第一歩は、自社が保有するハードウェアやソフトウェアの資産を正確に把握することです。
管理台帳から漏れているシャドーITや、使用されずに放置されている古いサーバーは、攻撃者にとって格好の標的となります。ネットワークに接続されているすべての機器、導入されているOSやアプリケーションのバージョン情報を網羅的に収集し、リスト化する作業が必要です。

最近ではSBOM(ソフトウェア部品表)を活用し、システムを構成するコンポーネントの依存関係まで透明化する手法も普及しつつあります。

2.脆弱性の検知・スキャン

資産の全体像を把握した後は、専用のツールを用いてシステムに潜む脆弱性を定期的にスキャンします。公開されている脆弱性データベースの情報と自社の資産情報を照合し、該当するセキュリティ上の欠陥がないかを自動で洗い出すプロセスです。

手動による確認作業は抜け漏れが発生しやすく、膨大な手間がかかるため、IT資産管理ツールや脆弱性スキャナーの活用が一般的です。新たな脆弱性は毎日発見されるため、週次や月次といった一定のサイクルで継続的にスキャンを実施することが推奨されます。

3.リスク評価と優先順位付け

検出された脆弱性に対しては、ビジネスに与える影響度を評価し、CVSS(Common Vulnerability Scoring System)スコアや自社環境の特性をふまえて対応の優先順位を決定します。すべての脆弱性に即座に対処することはリソースの観点から難しいため、危険度の高いものから着手するリスクベースのアプローチが前提です。

判断の指標としては、共通脆弱性評価システムであるCVSSのスコアが広く利用されています。スコアの高さだけでなく、該当システムが外部に公開されているか、機密情報を扱っているかといった自社独自の環境要因も加味して総合的に判断します。

4.パッチ適用・軽減策の実行

優先順位の評価が完了した脆弱性に対して、具体的な修正措置や軽減策を適用します。ソフトウェアのベンダーから提供される更新プログラムや修正パッチをシステムにインストールすることが、基本的かつ有効な対処法です。

ただし、パッチの適用によって業務システムに不具合が生じる可能性もあるため、事前にテスト環境で動作確認を行う手順を踏みます。パッチの提供が間に合わない場合や適用が難しい環境では、不要なポートを閉じる、アクセス制限を強化するといった代替の軽減措置を講じるケースもあります。

脆弱性管理ツールの選び方

「選び方」と書かれた木製のブロック

手作業での脆弱性管理は限界があるため、ツールの導入が効果的です。自社に最適な製品を選ぶための選定基準を解説します。

選定基準要点
環境への対応状況自社のオンプレミス環境やクラウドサービスを網羅できるか
リスク評価機能CVEやCVSSを活用し、自動で優先順位を提示できるか
運用負荷の軽減スキャンからパッチ適用までのプロセスを効率化できるか

自社のIT環境(オンプレ・クラウド)への対応状況

自社のシステム構成やネットワーク環境を網羅してスキャンできるツールを選ぶことが重要です。オンプレミスのサーバー群だけでなく、AWSやAzureといったパブリッククラウド、従業員が利用するモバイル端末まで、幅広い対象をサポートしているかを確認します。

特定の環境しか検査できないツールを導入すると、管理の死角が生まれ、そこから脅威が侵入するリスクが残り続けます。自社のIT資産の現状をふまえ、今後の環境変化にも追従できる柔軟性の高い製品を選ぶことが重要です。

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CVEやCVSSなどの標準指標を用いたリスク評価機能

検出した脆弱性の危険度を、国際的な標準指標を用いて客観的に評価できるツールが推奨されます。CVE(共通脆弱性識別子)のリストと連携し、CVSSのスコアに基づく深刻度を自動で算出して提示してくれる機能は、現場の判断を助ける有力な要素です。

さらに高度なツールでは、自社のネットワーク構成や資産の重要度を学習し、実際に悪用される可能性が高い脆弱性をピンポイントで抽出する脅威インテリジェンス機能を備えるケースもあります。客観的かつ精度の高いリスク評価により、セキュリティ担当者の分析負担は大幅に軽減されると考えられます。

自動化による運用負荷の軽減

脆弱性情報の収集からスキャン、パッチの配布までのプロセスをどこまで自動化できるかも重要な比較ポイントです。日々更新される何千件もの脆弱性情報を人間が手動で追いかけるのは現実的ではありません。エージェントを各端末にインストールし、定期的な自動スキャンとレポート作成を行えるツールであれば、運用にかかる工数を削減できます。

また、パッチの自動適用機能やIT資産管理システムとの連携機能を持つ製品を選ぶことで、運用担当者はより高度なセキュリティ戦略の立案にリソースを充てられます。

まとめ

ノートや文房具の上に置かれた「まとめ」と書かれた木製ブロック

脆弱性管理は、資産の可視化からスキャン、リスクの評価、パッチの適用までを循環させる継続的なプロセスです。クラウド利用の拡大や攻撃手法の巧妙化を背景に、CVSS等の標準指標を用いて危険度の高い脆弱性から優先的に対処するリスクベースの運用体制が求められます。

しかし、毎日のように報告される新たな脆弱性情報を手動で収集し、自社のIT資産と照らし合わせて影響度を判定する作業には相応の時間がかかります。通常業務と並行しながら対応優先度を判断し、タイムリーに更新プログラムを適用し続けることは、多くの情報システム部門にとって負担の大きい課題です。

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