1on1の準備と記録をAIに任せたら、面談中により相手と向き合えるようになった話 | 株式会社ハートビーツ(HEARTBEATS Corporation)|AWS・クラウド・サーバーなどのインフラ運用を24時間365日サポート

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1on1の準備と記録をAIに任せたら、面談中により相手と向き合えるようになった話

こんにちは、あるいはこんばんは。
エンジニア部門のマネージャーをしている佐藤です。『SPY×FAMILY』のアーニャちゃん可愛いですよね。Netflixで子どもと観ています。
さて、いきなりですが、私のもとには5つのチームのマネージャーが直属しており、それぞれと月次で1on1しています。
1on1の前日になっても「さて、何を話そうか…」と議事録を開くことが多く、準備に手間がかかるという悩みがありました。AIを使ってその悩みをほぼ解決できたので、その話を書きます。
この記事では、1on1のアジェンダ作成と議事録管理をAIに任せることで、準備の手間を削減し、面談中は相手との対話に集中できるようになった仕組みを紹介します。筆者の環境ではGoogle MeetとGeminiが連携して議事録を自動生成できるためGeminiを、アジェンダ作成にはローカルで動くClaude Codeを使用していますが、ローカルで動くAIエージェントであればどのツールでも同様の仕組みを実現できます。

はじめに

弊社はフルリモートワークを採用しており、1on1を含むほぼすべての会議はオンラインで行っています。また、私の環境ではGoogle MeetやGeminiが日常的に利用できます。

弊社では1on1を「マネージャーとメンバーが互いの考えや状況を理解し、信頼関係を構築・維持するための対話の時間」と位置づけています。課題の早期発見や個々の成長促進だけでなく、相手の内省を支える場としても重要です。だからこそ、限られた面談時間を準備や記録ではなく、目の前の対話に使いたいと考えるようになりました。

1on1は本人の状態や目標、悩みなど、業務上センシティブな情報を扱う場です。AIにどこまでの情報を渡すかは、各自の判断と会社のセキュリティポリシーに従ってください。また、使用するAIサービスが入力データをモデルの学習に利用しない設定(オプトアウト)になっているかどうかを、事前に確認することを推奨します。法人向けプランではデータ学習が無効化されているケースが多いですが、契約内容や設定によって異なります。本記事では筆者の環境と運用方針を紹介しますが、そのまま適用するのではなく、自社の方針に照らして取捨選択することを推奨します。

なお、1on1でAIを活用することについては、対象のメンバーに事前に説明し、了承を得た上で運用しています。

動作環境

端末上で動作するAIエージェント「Claude Code」を使用しています。この記事で紹介する仕組みは、ローカルのファイルをAIに直接読み込ませることが前提となるため、ブラウザで使うAIツールではなく、Claude CodeやCursorのようなローカルで動くAIエージェントが必要です。なお、AIエージェント自体の導入方法については本記事では触れません。

課題:毎回直前になる1on1の準備

マネージャーとして複数のメンバーと月次で1on1していると、次のような問題が起きがちです。

  • 前回の議事録を読み返す時間が取れない:直前になって慌てて確認し、前回話した「次のステップ」を忘れてしまう
  • アジェンダが毎回似たり寄ったりになる:目標の進捗確認だけで終わってしまい、深掘りできない
  • 個々の状況に合った問いかけができない:相手の目標や背景を踏まえた質問を用意できていない

これらは「準備する仕組みがない」ことが根本原因でした。

解決策:AIへのコンテキスト共有を仕組み化する

解決のアプローチはシンプルです。1on1に必要な情報をドキュメント化し、AIがアジェンダを自動生成できる環境を整えることです。
具体的には、以下のディレクトリ構成でドキュメントを管理しています。

1on1/
├── CLAUDE.md # AIへの指示書
└── members/
└── {メンバー名}/
├── profile.md # 基本情報・役割期待
├── {年度}目標.md # 今期の個人目標・育成目標
├── minutes/ # 過去の議事録(Gemini自動生成)
│ └── YYYYMMDD.md
└── agendas/ # 生成されたアジェンダ(Claude生成)
└── YYYYMMDD.md

各ファイルの役割

CLAUDE.md:AIへの指示書

AIに対して「どんなアジェンダを作ってほしいか」を伝えるファイルです。指示書の内容は、1on1に何を求めるかによって変わります。以下の例は筆者の場合であり、自分の1on1の目的や会社の方針に合わせて内容を調整してください。

  • アジェンダの構成ルール(体調確認 → チーム状況 → 近況 → 本人の議題 → 私からの議題)
  • 会社固有の背景知識(年度の区切り、人事評価のサイクルなど)
  • 今月特に話したいテーマ

実際のCLAUDE.mdはこのような構成です(一部省略・一般化)。

## このリポジトリについて

エンジニア部門のマネージャーが、各チームマネージャーと実施する
1on1面談のアジェンダ・議事録を管理するドキュメントリポジトリ。

## アジェンダ構成順序

1. 本人の体調面の確認
2. チームメンバーの体調面の確認
3. 近況の確認
4. 本人からの議題
5. 私からの議題

## 前提知識
- 年度は6月始まり
- 人事評価: 5月・11月(成果の振り返り)、目標設定: 6月・12月
- 中間振り返り: 8月・2月

## 今月の特別テーマ
(毎月ここを更新する)
- 例:「来期の目標設定に向けて、今期の振り返りを深掘りする」

このファイルを更新するだけで、AIが毎回適切なアジェンダを生成してくれます。

profile.md:メンバーの基本情報

担当チーム、役割期待、1on1の実施サイクルなどを記録しています。AIがこのファイルを参照することで、「このメンバーはどういう役割を担っているか」を踏まえた質問を生成できます。

1on1中に気づいた個人の状態—-「最近疲れていそう」「何かいいことがあったみたい」「悩んでいる様子だった」—-も、面談後に一言メモしておくと効果的です。こうした所感は議事録には残りにくい情報ですが、profile.mdに蓄積しておくことで、次回のアジェンダ生成でAIがその点を考慮した問いかけを提案してくれます。

目標ファイル:今期の個人目標と育成目標を管理する

ウェイト付きで設定した目標を記載しています。目標の中間振り返り時期には、AIがこのファイルを参照して「各目標の進捗を問う具体的な質問」を自動で提案してくれます。

minutes/:過去の議事録を保管する

1on1終了後、GeminiがGoogle Meetの録音をもとに議事録を自動生成してくれるので、その内容をこのディレクトリに保存しています。手動でメモを取る必要がなく、話した内容がそのまま記録として残ります。

実際のアジェンダ生成の流れ

  1. 1on1を実施する:Google MeetでGeminiが会議を録音・議事録を自動生成
  2. 議事録を保存する:Geminiが生成した議事録を minutes/ に保存
  3. 気づきをprofile.mdにメモする:面談中に感じた「疲れていそう」「悩んでいる様子」などの所感を一言 profile.md に追記する。議事録には残らない空気感を次回に活かせる
  4. 今月のテーマを更新する:その月に話したいテーマを CLAUDE.md に追記
  5. Claudeにアジェンダ生成を依頼する:「次回の1on1アジェンダを作って」と依頼するだけ

Claudeは以下の情報を組み合わせてアジェンダを作成します。

  • 直近の議事録(前回の継続事項の確認)
  • 今期の目標(進捗を問う具体的な質問)
  • 今月のテーマ(今月特有のトピック)
  • プロフィール(役割に合った問いかけ)

生成されるアジェンダは以下のような構成になります。

  1. 本人の体調面の確認
  2. チームメンバーの体調面の確認
  3. 近況の確認(前回の継続事項を含む)
  4. 本人からの議題
  5. 私からの議題(目標進捗・今月のテーマ)

やってみてわかったこと

よかったこと

前述の3つの課題はいずれも、この仕組みによって解消されました。

準備面の効果(Claude)

  • アジェンダの準備がほぼゼロになった:アジェンダの作成はClaudeが担うため、自分がやることは「今月話したいテーマを一言追記する」だけになりました。
  • 前回話した「次のステップ」を忘れなくなった:Geminiが作成した議事録には話した内容が詳細に記録されているため、Claudeがそれを読んで「前回こういう宿題がありましたね」と自動で拾ってくれます。
  • 目標を踏まえた具体的な質問が用意できるようになった:「目標の進捗はどうですか?」という漠然とした問いではなく、目標の内容に即した具体的な問いかけになります。

例えば、「課題解決までの平均リードタイムを3営業日以内に短縮(ウェイト30)」という目標があれば、次のような質問になります。

Before:「目標の進捗はどうですか?」
After:「平均リードタイム短縮の目標(ウェイト30)について、今月の実績はどうでしたか?前回、対応漏れの検知フローを見直すと話していましたが、運用に乗りましたか?」

面談中の効果(Gemini)

1on1中も相手に集中できるようになった:1on1は数字やテキストでは見えない状態を確認する場です。だからこそ、相手の表情や言葉のトーンの変化に気づけるかどうかが重要になります。

議事録の作成もGeminiに任せているため、会話中にメモを取る必要がありません。

Before:画面に目を落としながら「えっと、それはつまり…」とメモを打つ
After:相手の表情や言葉のトーンの変化に気づきながら聞ける

工夫が必要だったこと

  • 指示書のメンテナンスが必要:会社の方針変更や評価サイクルの変化に合わせて CLAUDE.md を更新しないと、的外れなアジェンダが生成されることがあります。月に一度、内容を見直す習慣をつけると安定して運用できます。
  • 議事録の固有名詞はレビューが必要:Geminiの議事録生成は音声認識ベースのため、人名や案件名などの固有名詞が誤認識されることがあります。そのまま保存すると次回のアジェンダ生成にも影響するため、保存前に軽くレビューして修正する習慣をつけることを推奨します。
  • 議事録の品質が精度に影響する:Geminiが生成する議事録の質は会議の音声品質に左右されます。マイク環境を整えることが、間接的に1on1の質向上につながります。指向性マイクを搭載したヘッドセットは不要な環境音を拾いにくく、音声認識の精度向上にも効果的です。
  • アジェンダは必ずマネージャー自身がレビューする:AIはプロフィールや議事録をもとに機械的に提案を生成するため、相手の最近の状況変化や職場の空気感を完全に把握しているわけではありません。生成されたアジェンダを面談前に確認し、不要な項目の削除、優先順位の見直し、問いかけのニュアンスの調整をすることが重要です。このレビュー自体が、相手のことを改めて考える準備時間にもなります。
  • AIに渡す情報の範囲を意識する:「はじめに」で述べた原則を踏まえ、筆者の具体的な運用例を紹介します。profile.mdに書く内容は「次回の面談に活かせる観察メモ」程度にとどめ、評価の判断材料となるような機微な情報は記録しないようにしています。Geminiによる議事録生成はGoogle Workspaceのサービスを利用するため、会社のデータ取り扱いポリシーを確認した上で運用することが大切です。また、1on1の内容をAIに渡すことに対して心理的な抵抗感を持つメンバーがいる場合には、その意向を尊重してください。

まとめ

生成AIを1on1の準備に使う際のポイントは、AIに渡すコンテキストを適切に整備することです。プロフィール・目標・議事録という3つのドキュメントを揃えることで、AIは「次回の面談で何を話すべきか」を適切に提案できるようになります。

ただし、AIが生成するアジェンダはあくまでもドラフトです。実際の1on1では、相手のその日の状態や話の流れに応じて、項目を取捨選択したり、問いかけのニュアンスを変えたりすることが大切です。

この仕組みの本質的な価値は、面談の前後でAIが手間を肩代わりすることにあります。事前のアジェンダ作成はClaudeが、面談中の議事録作成はGeminiが担うため、マネージャーは準備にも記録にも気を取られず、目の前の相手との対話に集中できるようになります。

まずはプロフィールと目標のドキュメントを1人分作るところから試してみてください。

参考

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