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AWSのSavings Plans(SP)を徹底解説|RIとの違い・メリット・ユースケースまで紹介

AWSパートナーコスト削減・最適化基礎知識

AWSコストを最適化するためのSPの活用方法や注意点も紹介

AWSの利用コストを抑えたいものの、どの割引制度を選ぶべきかわからないと悩む担当者は少なくありません。特にSavings Plans(SP)は柔軟性の高さが魅力ですが、種類や適用範囲を正しく理解しないと、思ったほどの削減効果が得られないケースもあります。

AWSコストを最適化するには、Savings Plansの特性を正しく理解し、自社の利用状況に合わせて適切に選定・運用することが重要です。本記事では、Savings Plansの概要やメリット、注意点、料金体系、ユースケースをわかりやすく解説し、リザーブドインスタンス(RI)との違いも整理します。

AWS全体の料金構造やコストの仕組みを知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事:AWSのコストの仕組みは?見積もり方法や最適化するポイントを解説

AWSコスト削減ソリューション

1. Savings Plans(SP)とは

AWSのオンデマンド課金は、使った分だけ料金を支払う柔軟なモデルですが、常時稼働するワークロードでは費用が高くなりやすいという課題があります。このようなケースでコストを抑えるために設計されたのが、Savings Plans(SP)です。

AWS Savings Plans(SP)は、AWSのコンピューティングリソースに対して、1年間または3年間の一定量の利用額(USD/時間で測定)をコミットすることで、オンデマンド料金より最大72%の割引を受けられる料金プランです。


AWS Cost Explorerを利用して過去の利用状況をもとに推奨コミットメントを確認し、プランを購入すると、その範囲内の使用に対して自動的に割引が適用されます。支払い方法は「全額前払い」「一部前払い」「前払いなし」から選択でき、企業の予算計画に合わせた運用が可能です。

Savings Plansの種類

Savings Plansには、柔軟性や対象サービスが異なる3種類のプランがあります。

Compute Savings Plans

最も柔軟性が高いプランで、オンデマンド料金より最大66%の割引を受けられます。インスタンスファミリー、サイズ、OS、リージョン、テナンシーを問わず適用され、EC2だけではなくFargateやLambdaの利用にも割引が自動的に反映されます。

EC2 Instance Savings Plans

インスタンスファミリーとリージョンを指定することで、オンデマンド料金から最大72%の割引を受けられるプランです。対象範囲は限定されますが、同一ファミリー内でのサイズやOS、テナンシーの変更には対応できます。

SageMaker AI Savings Plans

Amazon SageMakerの利用に特化したプランで、最大64%の割引が可能です。インスタンスファミリーやコンポーネントを問わず適用され、トレーニングから推論への切り替え時も継続して割引を受けられます。

プラン名最大割引率対象サービスインスタンスファミリーの制限
Compute Savings Plans66%EC2、Fargate、Lambdaなし
EC2 Instance Savings Plans72%EC2あり(同一ファミリー内のみ)
SageMaker Savings Plans64%SageMakerなし

リザーブドインスタンス(RI)との違い

AWSには、Savings Plansと似た仕組みとしてリザーブドインスタンス(RI)があります。どちらも長期利用を前提としたコスト削減手段ですが、適用対象・割引の仕組み・柔軟性が異なります。

RIは、特定のインスタンス構成(リージョン、インスタンスタイプ、OS、テナンシーなど)をあらかじめ指定して予約することで、オンデマンド料金に比べ最大72%の割引を受けられる仕組みです。対象サービスにはEC2のほか、RDSやRedshift、ElastiCacheなども含まれます。

一方、Savings Plansは主にEC2、Fargate、Lambdaなどのコンピューティングリソースを対象とし、「1時間あたりの利用額」をコミットしてその範囲内の利用に対して自動的に割引が適用される仕組みです。
割引率はほぼ同等ですが、Savings Plansは構成変更に対する柔軟性に優れていますただし、RIにはキャパシティ予約が可能というメリットがあり、確実なリソース確保が必要なケースに適しています。

リザーブドインスタンス(RI)との違いについて詳しくは以下の記事をご覧ください。


関連記事:AWSリザーブドインスタンスとは?種類やメリット、料金体系を解説

2. Savings Plansのメリット

Savings Plansを導入する具体的なメリットを解説します。

安定したコスト削減が可能になる

図版:Savings Plans(SP)とオンデマンド利用における料金差

Savings Plansを利用することで、オンデマンド料金よりも大幅な割引を受けられます。特に、常時稼働するワークロードや定常的に利用されるシステムに対して、継続的かつ安定したコスト削減を実現可能です。AWS Cost Explorerで推奨コミット量を確認できるため、過剰・過少な契約を避けながら確実なコスト最適化を図れます。

リソース変更や利用変動にも柔軟に対応できる

Savings Plansの大きな特徴は、構成変更や利用変動に対する柔軟性です。Compute Savings Plansを選択すれば、インスタンスタイプ、サイズ、OS、テナンシー、リージョンを問わず割引が適用されます。


これにより、開発環境から本番環境への移行、別リージョンでのスケールアウトといった運用変更を行っても、契約内容を変更せずに割引を維持することが可能です。RIと違い、構成の固定が不要である点は、運用負荷を軽減する大きなメリットといえます。

長期的な運用コストを予測・管理しやすくなる

Savings Plansはコミット額があらかじめ決まっているため、中長期的なコスト予測や予算計画を立てやすい点もメリットです。また、支払い方法を「全額前払い」「一部前払い」「前払いなし」から選択でき、キャッシュフローや予算管理の方針に合わせて契約できます。さらに、AWS Cost Explorerと連携して実績利用を可視化すれば、利用傾向を踏まえた次期プランの見直しやコスト最適化も容易です。

3. Savings Plansの注意点

Savings Plansには多くのメリットがある一方で、注意すべきポイントもあります。

割引効果が下がることがある

Savings Plansは、契約時に設定した「1時間あたりの利用額(コミット額)」の範囲内で割引が自動的に適用されます。しかし、実際の利用量がこのコミット額を下回ると、その分は割引の適用対象がなくなり、支払ったコミット金額を使い切れません。結果的に、コスト削減効果が低下します。逆に利用量が大きく増えた場合、その超過分はオンデマンド料金で課金されます。

導入時は過去の利用実績をもとに、安定して稼働するリソースを中心に契約範囲を設定することが重要です。

契約期間中は解約やプラン変更ができない

Savings Plansの契約後に解約やコミット額の減額はできません。プランの種類も途中で変更できないため、長期的な利用計画を立てたうえで契約する必要があります。また、支払い方法の変更も不可となっているため、キャッシュフローへの影響もあらかじめ考慮しておきましょう。

キャパシティ予約ができない

Savings Plansは、特定のアベイラビリティーゾーンにおけるキャパシティの確保機能を持ちません。そのため、リソース需要が集中するタイミングやリージョンでは、インスタンスの新規起動が制限される場合があります。

確実なリソース確保が求められるシステム(基幹業務や24時間稼働が必須の環境など)の場合は、キャパシティ予約が可能なリザーブドインスタンス(RI)を利用することが推奨されます。

Savings Plansは大きなコスト削減効果をもたらす一方で、契約条件や運用設計を誤ると、期待した効果が得られない場合もあるため注意しましょう。自社での判断が難しい場合は、AWSの料金体系や運用を熟知した外部パートナーの支援を受けることも有効です

4. Savings Plansの料金体系

Savings Plansの料金は、主に以下の要素によって決まります。

  • 契約期間:1年または3年
  • プランの種類:Compute Savings Plans/EC2 Instance Savings Plans
  • 支払いオプション:全額前払い/一部前払い/前払いなし
  • 対象サービス:Amazon EC2、AWS Fargate、AWS Lambda など

契約期間と支払い方法の組み合わせによって割引率が変動し、長期契約かつ前払いを選択するほど割引率が高くなる仕組みです。例えば、Compute Savings Plansを3年間・全額前払いで契約した場合、オンデマンド利用と比べて約40〜60%のコスト削減が見込めます。(2025年11月現在)

料金体系について詳しくは以下をご覧ください。

参考:Compute Savings Plans

また、SageMaker AI Savings Plansは、Amazon SageMaker専用の料金体系であり、Compute/EC2 Instance Savings Plansとは対象が異なります。

詳しくは以下をご覧ください。

参考:Machine Learning Savings Plans

5. Savings Plansのユースケース

Savings Plansの割引の仕組みや契約期間を踏まえると、特に以下の運用パターンにおいて高い効果を発揮します。

長期的に安定稼働するワークロードのコストを抑えたい場合

常時稼働するECサイトや社内基幹システム、SaaSなどでは、EC2インスタンスを長期間利用し続けるケースが大半です。こうした環境では、オンデマンド課金を続けるよりも、Savings Plansを導入したほうが一定利用分を割引価格で抑えられ、月次コストの変動を平準化できます。

特にCompute Savings Plansでは、将来的にインスタンスタイプを変更しても割引が維持されるため、リプレイスや拡張を見据えた長期運用にも向いています。

インスタンスタイプやリージョンを柔軟に変更する運用を行っている場合

グローバル展開を行う企業や、テスト環境・本番環境を頻繁に切り替える開発チームでは、多くの場合、利用リージョンやインスタンス構成が固定されません。Compute Savings Plansはこれらの変更を前提とした設計で、EC2からFargateやLambdaへの移行にも対応できます。

そのため、マイクロサービス化やクラウドネイティブ化を進める企業にも適しています。

RIと組み合わせてコスト最適化を図りたい場合

Savings Plansは、リザーブドインスタンス(RI)と併用することで、さらに戦略的なコスト最適化が可能となります。例えば、アクセス負荷の高い本番環境はRIでキャパシティを確保し、利用変動の大きい開発・検証環境はSavings Plansでカバーするといった使い分けが代表的です。これにより、確実なリソース確保と柔軟性の両立を実現できます。

まとめ

AWS Savings Plansは、オンデマンド課金に比べて大幅なコスト削減を実現できる有効な仕組みです。長期的に安定稼働するワークロードや、構成変更が発生する環境に適しています。

一方で、契約期間中の変更ができない、コミット額の設定を誤ると割引効果が十分に得られないといったリスクも存在します。Savings Plansを効果的に活用するには、AWSの利用状況を正確に把握し、最適なプラン設計・運用を継続的に行うことが重要です。

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AWSコスト削減を確実に進めたい方、RI/SPの運用を専門的な知見のもとで最適化したい方は、ぜひハートビーツにご相談ください。

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