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Webサーバーとは?機能や構成、種類、運用上の注意点など徹底解説

セキュリティ基礎知識

Webサーバーの仕組みを理解して適切な運用を実践しよう

Webサーバーとは、ブラウザからのリクエストに応じてWebページや各種コンテンツを返すサーバーです。企業のWebサイトや業務システムを支える仕組みの中核となる存在であり、ロードバランサーやWAF(Web Application Firewall)との連携も欠かせません。本記事では、Webサーバーの概要と仕組み、Webサーバーの構成、Webサーバーソフトウェアの種類を紹介するとともに、Webサーバーを運用する際の注意点を解説します。

1. Webサーバーの仕組みと役割とは?

Webサーバーとは、Webページやアプリケーションのコンテンツをユーザーに配信するための仕組みです。一般的にはApache、Nginx などのWebサーバー用のソフトウェアをインストールしたサーバーです。

Webサーバーの仕組み 

Webサーバーとブラウザ(クライアント)の間では、HTTP または HTTPS を用いた通信が行われます。ブラウザから送信されたリクエストには、操作の種類(メソッド)や付加情報(ヘッダなど)が含まれており、Webサーバーはそれに応じて適切なレスポンスを返します。

Webサーバーの役割

Webサーバーは、企業の公開Webサイトや社内イントラネット、業務システムの画面などをクライアントに提供します。静的なHTMLだけでなく、アプリケーションサーバーと連携して動的コンテンツを返す構成が一般的です。

2. Webサーバーの構成要素

Webサービスは、Webサーバー本体と周辺システムとの連携によって機能します。

Webサーバー本体

Webサーバーは、Webサーバーソフトウェアを搭載した環境に、HTMLファイル、CSS(カスケーディングスタイルシート:Webページの見た目やレイアウトを定義したファイル)、画像ファイルなどが保存されており、クライアントのリクエストに応じて必要なファイルを送信します。

Webサーバーを稼働させるためには、コンテンツの格納ディレクトリ、使用するポート番号、ドメインとの関連付けなどの設定が必要です。使用する機能に応じて細かな設定をする場合は、一定の専門知識を必要とします。

Webサーバーは、HTMLや画像などの静的コンテンツの配信に加え、PHPなどのサーバーサイドスクリプト言語と連携して、動的コンテンツを提供できます。さらにTomcatなどのJava Servletコンテナを利用することで、JavaによるWebアプリケーションの実行も可能です。

ただし、本格的な業務アプリケーションを動かすためには後述するアプリケーションサーバーと連携しなければなりません。

周辺システムの連携要素

Webサーバーは、以下のような周辺システムと連携することで、セキュリティや可用性、パフォーマンスを確保し、Webサービス全体を構成します。

構成要素役割・機能
ファイアウォール外部からのアクセス制御(ネットワークレベル)不要なサービスへのアクセス抑止
ロードバランサー複数のWebサーバーにアクセスを分散し、可用性とパフォーマンスを向上
リバースプロキシサーバークライアントとWebサーバーのアクセスを中継クライアントがWebサーバーにアクセスするのを代理
CDN(Content Delivery Network)静的コンテンツを分散配置し、ユーザーの近くのキャッシュサーバーから高速に配信する仕組み
WAF(Web Application Firewall)Webアプリケーションへの攻撃を検知・防御
DNSサーバー名前解決(ドメイン名をIPアドレスへ変換)
アプリケーションサーバーWebサーバーと連携し、ビジネスロジックの実行やデータベースとの連携を通じて、Webアプリケーションの主要機能を提供
DBサーバーWebアプリケーションで使用するデータを保存・管理し、検索・更新・削除といった操作に応答

Webサーバーは、最小構成であれば1台のサーバーを用意するだけで構築可能です。しかし、実運用においてはセキュリティやパフォーマンス、可用性などの観点から、複数のWebサーバーで冗長構成とし、ネットワーク機器やセキュリティ製品と組み合わせた構成にします。

また、Webアプリケーションのセキュリティを強化するためには、開発段階における実装面にも注意が必要です。例えば、サーバー側での入力値検証やセッション管理など、基本的なセキュリティ対策を実装することで、脆弱性を未然に防げます。 

通信の暗号化においては、SSL/TLS証明書を導入し、HTTPS通信を実現することが一般的です。

3. 代表的なWebサーバーソフトウェアとの比較

代表的なWebサーバーはApache、Nginx、IISの3つです。現在ApacheとNgignxが高いシェアを占めています。しかし、近年ではLiteSpeedやCaddyなど新たなWebサーバーも登場しており、ユーザーの要件に応じてさまざまなWebサーバーを使い分けることが重要です。

Webサーバー利用できるOS機能特徴
ApacheLinux、Windows、FreeBSD、macOS、UNIX系・静的、動的コンテンツの配信・リバースプロキシ・ロードバランシング・モジュールによる機能拡張が可能・コミュニティなど情報が豊富・定期的なアップデート版の提供
NginxLinux、Windows、FreeBSD、macOS、UNIX系・静的、動的コンテンツの配信・リバースプロキシ・ロードバランシング・FTPサーバー(vsftpの導入が必要)・高速静的コンテンツ配信・イベント駆動型アーキテクチャ・高トラフィック環境に強み
IISWindows・静的、動的コンテンツの配信・FTPサーバー・Windows認証やActive Directoryの利用可能・ASP.NETの利用可能・GUIやPowerShellによる操作性が高い
LiteSpeedLinux、FreeBSD・静的、動的コンテンツの配信・高速処理(イベント駆動)・専用キャッシュ機能・Apache設定ファイルを流用可能
CaddyLinux、Windows、FreeBSD、macOS・静的、動的コンテンツの配信・リバースプロキシ・自動HTTPS(Let’s Encrypt使用)・シンプルな設定ファイル・HTTP 3に標準対応

Apache

Apacheは、Apache Software Foundationによって開発され、1995年にリリースされました。Webサーバーとしてこれまで広く利用されています。豊富なモジュールが提供されており、拡張性が高い点が特徴です。Windows、Linuxをはじめとしたマルチプラットフォームに対応し、現在でも標準的なWebサーバーとして数多くの企業で利用されています。

Nginx

NginxはApacheと並ぶWEBサーバーで近年ではApacheを超えるシェアを誇っています。Nginxの特徴はイベント駆動型アーキテクチャにより高速処理を実施できる点です。イベント駆動型ではクライアントからのリクエストをイベントとして捉え、イベント発生時に処理を行います。

IIS

IISはMicrosoft社によって開発されたWindows用のWebサーバーです。Windowsとの親和性が高く、GUI(Graphical User Interface)が充実しているため視覚的に操作しやすい点が特徴です。Windowsで構築されている環境との親和性は高いのですが、Linux環境やUNIX環境には導入できません。

LiteSpeed

LiteSpeed Web Server(LSWS)は、LiteSpeed Technologies社が開発した商用Webサーバーソフトです。Apacheの設定ファイルやモジュール(.htaccess、mod_rewriteなど)をそのまま使える互換性を持ちながらも、Apacheより高速かつ低リソースで動作します。

Caddy

Caddy は、Go言語で開発された軽量でセキュアなWebサーバーです。設定が簡単で、HTTPS(SSL/TLS)を自動で有効化できるオープンソースソフトウェアであり、Linux、MacOS、Windowsなど、主要OSに対応しています。JSONまたは Caddyfile という簡易設定ファイルでWebサーバーを構築でき、HTTP 3に標準対応している点が特徴です。

4. Webサーバーの主な利用シーン

Webサーバーは目的に応じてさまざまな形で活用されており、ここでは代表的な3つの利用シーンを紹介します。

公開Webサーバー

外部からアクセスするサーバーです。公開Webサーバーは企業の公式ホームページ、製品紹介、オウンドメディアといったコンテンツを提供します。最もよく利用されるケースで、PHPなどのサーバーサイドスクリプトとともに動的なコンテンツを提供したり、SNSと連携したりすることも多いです。

イントラネット

イントラネットは外部からアクセスしない社内向けのコンテンツを指します。例えば、社内ポータルや関連企業向けで外部に公開していないサイトがあります。イントラネットで扱うコンテンツは機密性が高いものが多く、外部からアクセスできないようにセキュリティ強度が通常より高い点が特徴です。

Webアプリケーション

主にフロントエンドとしてアプリケーションのユーザーインターフェースを提供します。例えば、ECサイト、顧客管理システム、医療向け予約サイトといったフロントエンドの画面です。静的なページに加え、PHPなどを使ってサーバー側で内容を生成する仕組みや、TomcatなどのJavaを使った構成もよくみられます。

5. Webサーバー利用時の注意点

Webサーバーを安全かつ効率的に運用するには、安定性やセキュリティ面でいくつかの注意点を押さえておく必要があります。ここではそのポイントを解説します。

セキュリティ設定

外部公開用Webサーバーは適切なセキュリティ設定を行うことが重要です。

例えば、以下のようなセキュリティ設定を行います。

・バージョン情報の隠ぺい

・クロスサイトスクリプティング対策といった設定

・管理画面へのアクセス制限(IPアドレス制限やBASIC認証の設定)

・HTTPS化(SSL/TLS設定)と古いバージョンの無効化

・デフォルトページやサンプル用スクリプトの削除

定期アップデートによる脆弱性対応も行い、外部公開用WEBサーバーの脆弱性をなくすよう常に気をつけることが重要です。

不要なサービスの無効化

ApacheやNginxはデフォルトで数多くのサービスが有効化されています。例えば、Apacheのmod_autoindexと呼ばれるファイルを一覧表示するモジュールです。

こうしたサービスはセキュリティホールの原因となるため、利用しないものは無効化しましょう。

ログの管理

Webサーバーのログは、どのコンテンツのアクセス数が多いのか、どのようなアクティビティをしたのか知るうえで重要な役割を果たします。さらに障害が発生した場合のトラブルシューティングでも重要です。

ただし、ログは肥大化する可能性が高く、ログローテーションやログの保持期間などを適切に設定しなければ障害の原因になる恐れもあります。定常的なログの監視を行うことが重要です。

同時接続数とリソース

Webサーバーには最大接続数を設定する項目があり、接続数が設定を超えるとエラーになります。そのため、同時接続数を事前に予想し適切な値を設定することが重要です。

Webサーバーの運用には多くの設定項目と継続的な管理が求められ、予想以上に工数がかかることもあります。特に、インフラが専門でないエンジニアや、前任者の引き継ぎが不十分なケースでは、対応に不安を感じる場面も少なくありません。

こうした負担を軽減するために、必要に応じて外部の専門知識を活用することも選択肢に入れましょう。

まとめ

Webサーバーはクライアントからリクエストを受けWebページやアプリケーションの画面を提供するサーバーです。代表的なソフトウェアにはApache、Nginx、IISがあり、LiteSpeedやCaddyなども利用されています。

実運用ではファイアウォール、WAF、ロードバランサーなどと連携して構成するのが一般的です。運用にあたっては、セキュリティ設定やログ管理、接続数の制御など多くの考慮事項があり、専門的な知識が求められます。

ハートビーツは、こうした課題に対応するため、インフラに関する深い知見をもとに、MSPサービスやセキュリティソリューションといった各種サービスを提供しています。Webサーバー運用の際にはぜひご利用ください。

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